あの空の音を、君に。




私の涙だけがぼろぼろと流れていく。



伊月の表情なんて、見たくない。

見るのが怖い。




雨の日は、いいことなんて何もない。





ふと、体が温かくなった。


誰かに抱きしめられていた。



伊月だった。




「涼……」




そういうつぶやく伊月の声は、いつもの優しい声だった。



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