あの空の音を、君に。
さっき、ずっと一緒にいれないって言ったばかりじゃない。
わからないって言ったばかりじゃない。
なのに、こんなに優しくするなんて。
「伊月」
こんなの、反則だよ。
私は伊月の腕を振り解いた。
もう、ダメだ。
涙が止まらない。
「――バイバイ……ッ」
本当は、言いたくなかった。
でも、こうしなきゃ、私は前に進めない。
ずっと、伊月のことを引きずってしまう――。
私は鉛のように重い足を引きずりながら、扉を開けて校舎の中に入っていった。