あの空の音を、君に。
しゃがみこんだ私は、しばらく無心でいた。
何も考えたくなかった。
じめじめとした空気だからなのか、そうじゃないのかはわからない。
でも、心の中は空気よりもじめじめしていた。
ふと我に返って視界が鮮明になった。
よく見たら、床には髪の毛や大きなホコリ、誰かがお弁当を落としたのか、大豆みたいなものまで落ちていた。
ここは汚い。
私みたいに汚い。
伊月とは正反対な——。
すぐにここを立ち去ろうと思った。
そうじゃないと、伊月を思い出してしまう。