あの空の音を、君に。
そんなことを思い出していたら、隣から深いため息が聞こえた。
ぎょっとして見ると、里麻の表情がさっきとは一変、げっそり暗い顔になっていた。
今にも泣き出しそうな、怒り出しそうな感じ。
「里麻? 今すごい顔してるよ」
私がそう言っても、里麻は何も動かない。
いつもの里麻じゃない。
そう思ったのもつかの間、里麻の目にみるみるうちに涙が溢れ出し、淡いピンク色をした頬に大粒の雫が流れ出した。
「涼ー……っ。里麻、どぉしたらいいのぉ?」
声のトーンが普段より低い。
でも、声のボリュームは劣っていない。
里麻の涙は、止まることを知らない。
里麻がこうなったときは声に出して何かを私に訴えてくるのは、今までの付き合いでわかっていた。
でも、今回は予想以上に里麻の声が大きかった。
そのおかげで、教室中の視線が私たちに向けられた。