あの空の音を、君に。



号泣し始めた里麻を目の前に、私はオロオロすることしかできなかった。


「ちょ、里麻、落ち着いて」

「落ち着いてるよ。落ち着いてないのは涼だもん」

「私は大丈夫だから……」

「ウソウソ。涼が落ち着いてるわけないじゃん。いつも……今もオロオロしてるじゃん」



もう何がなんだかわからなくなってきた。


そもそも、どっちが落ち着いていて、どっちが落ち着いていないっていう基準そのものもわからない。



結局、ちゃんとした話ができるようになったのは、里麻が泣き叫び始めてから五分後、私が無理やり里麻の口にイチゴを突っ込んでからだった。


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