禍津姫戦記
姫夜は自分のうちにわきあがってくる狼狽をおさえるのに必死で、こたえることなどできなかった。
言葉は、わかる。
だが、男の剣の柄に彫られた唐草の文様も、刃の反りも形も、姫夜が知っているものとは違う。
いったい、ここはどこなのか。
じわりと手のひらに汗がにじんだ。
男は云った。
「おかしい。酒を喰らって眠りこけていたのならともかく、俺はずっと眼を覚ましていた。空を飛んできたというなら話は別だが」
言葉は、わかる。
だが、男の剣の柄に彫られた唐草の文様も、刃の反りも形も、姫夜が知っているものとは違う。
いったい、ここはどこなのか。
じわりと手のひらに汗がにじんだ。
男は云った。
「おかしい。酒を喰らって眠りこけていたのならともかく、俺はずっと眼を覚ましていた。空を飛んできたというなら話は別だが」