禍津姫戦記
「苦しければ俺によりかかれ」

 姫夜が懸命に首を横にふると、ハバキは喉の奥でくぐもった笑い声を立てた。姫夜はなんとか歯を食いしばっておのれの力で体を起こしていたが、内に熱を持った、硬く広い胸の筋肉に寄り添う心地よさに、しだいにからだの力が抜けていった。
 いつのまにか眠りに落ちてしまった姫夜のからだを、ハバキがカツラギの山々のように、しっかりと支えていた。
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