禍津姫戦記
 カリハが横から口を挟んだ。

「滅多に里から出ぬゆえ、暮らしぶりについてはほとんど知るものはおりませぬ。
うわさでは、その一族は男も女も肌が透きとおるように白く、眉目麗しく、たまさか里に降りきて雅なる舞いと歌とで見るものの魂もとろけさせ、その精を喰らうと云われております」

「精を喰らうだと」

 カリハが聞き返すと、クラトは、さらに声を落としていった。
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