禍津姫戦記
 見るものをまっすぐに射抜く鋭い眼は、水のごとく澄んで、深い輝きをたたえている。
 姫夜はしばし呆然と、その輝きに見入った。
 かれは、姫夜の瞳のなかに敵意ではないものを、敏感に感じ取ったらしかった。
 そして、大胆に姫夜のほっそりとしたあごをつかんだ。
 するどい目が、このあたりの童にはありえない、透き通るような白い肌、長いまつげにふちどられた大きな瞳、美しくくしけずられた長い髪、そして衣服にあてられる。
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