禍津姫戦記
「まったくあなたさまには手を焼かされたものです」

「――なぜそんな話をする」

 那智は風に吹かれながら、微笑した。

「あなたさまはご自分には神に祈る力はないとお考えのようですが、わたくしから見ればそんなことはない、ということです」

 ハバキは腕を枕にじっと明るい空をみつめていた。
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