禍津姫戦記
 ハバキは憮然とした顔で答えたものの、いささか歯切れが悪いのはたしかだった。姫夜は予言はしたが、この里のカンナギになることを承諾はしたわけではない。
 イスルギは何を思ってか、皺深いまぶたを閉じたまま何も云おうとしない。

(この程度の修羅場を一人で切り抜けられねば長など、ましてや王になどなれぬと云いたいのか)

 その時、足音高く入ってきたものがあった。
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