禍津姫戦記
もうもうと熱い白煙が立ちこめ、激しい轟音とともに岩のあった場所から湯の柱が、天にも届けとばかり高く噴きあがった。

「ああ、あ――」

 しげみから這いずり出てきたヤギラは空をみあげて、がたがたと震えながらその場にへたりこんだ。
 激しい水煙のなかに、赤い鱗を光らせた巨大なクチナワの姿をした神が立ち上がっていた。
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