禍津姫戦記
 姫夜はうろたえたように叫んだ。
 ふたたび大地がふるえはじめた。大きな水柱が噴き上がり、蛇神は空めがけて一直線にかけのぼった。

「姫夜、大丈夫かッ」

 ハバキがかけよって助け起こすと、姫夜は空を見上げたまま喘ぐように云った。

「神はわたしに封じられることを承知された。だが水ノ江の民はゆるさぬと……」
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