禍津姫戦記
 しかし姫夜はくちびるを噛みしめ、おもいきり手をのばした。

「ハバキ――ッ!」

 ハバキがその手をつかんだ。大地の裂け目はさらに音を立てて広がり、大きなあぎとのなかに三人を引きずりこもうとした。

「助け――て……足がっ!」

 裂けた大地がうねり、ヤギラの足が岩にはさまれた。
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