禍津姫戦記
「姫夜」

 ハバキは姫夜のそばに腰をおろし、灯明皿をおいて、そっと声をかけた。あらわになった背中がびくりと震えた。

「背中を見せてみろ。悪い風が入るとあとが厄介だぞ」

「……あのヤギラという少年はどうした?」

 姫夜はかすれた声でたずねた。
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