禍津姫戦記
「那智の見立てでは足は切らずにすむそうだ。添え木をしてしばらくすれば、歩けるようになる」

「そうか……」

 深い吐息をつき、ゆっくりとからだを起こすと、かろうじて肩のあたりを覆っていたうわぎを脱ぎ落とした。長い黒髪を前にたらして、白い背をハバキにむける。
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