禍津姫戦記
 ハバキはそれでも、ふさがっていく疵口に酒を吹き付けた。
 姫夜はくちびるをかみしめ、叫び声をあげぬようじっと耐えていた。
ハバキは手早く布を細く裂き、黙々と姫夜の背中にまきつけていった。
 まだ胸のふくらみも乏しく、かたい少年のようなからだつきだ。ハバキは黙っておのれの上着を脱いで、後からほっそりした肩に着せかけた。
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