禍津姫戦記
姫夜は腰にさげた守り袋から祈り浄めた五色の砂をつかみだし、さらさらと床にまいた。おのれを取り囲むように大きく円を描き、さらに直線と曲線とで円のなかに複雑な模様を描き上げた。完成すると、それは生きた蟲のようにのたうち、ぼおっと紫の光を帯びた。
ハバキにとっては初めて見るものだったが、それはワザヲギの民に伝わる神代の文字だった。
ハバキにとっては初めて見るものだったが、それはワザヲギの民に伝わる神代の文字だった。