禍津姫戦記
 稲妻が空を裂きながら結界のうちにとびこんだ、と見えた。
 姫夜の目の前に、姫夜の背の倍はあろう大きな赤い蛇がとぐろを巻き、鎌首をもたげていた。ハバキは息を詰めてその様子を見守った。

 ――吾(われ)は、来た。

 赤い蛇はちろちろと赤い舌をひらめかせながら、云った。
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