禍津姫戦記
 それははっきりとハバキに向けられた言葉だった。神と口をきくのは初めてだったが、ハバキはおそれげもなく訊ねた。

「蛇神よ。そなたは俺の何を知っている」

 赤蛇は長い舌をひらめかせ、笑ったように見えた。

 ――知っていたとしても教えることはできぬ。吾はもはや人の子に対して何の義務も負わぬゆえ。
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