禍津姫戦記
「わたしは戦さのしかたも知らぬ。鬼道のなんたるかも――。兄はそれに長けていた。わたしにできるのは、歌と舞いを神に捧げること、それだけだ」

 ハバキは辛抱強く云った。

「それでいい。姫夜は俺のとなりに立って民に神意を伝え、その舞いで民の心をやわらげてくれ」

 姫夜はふるえる声で云いつのった。
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