禍津姫戦記
「さてと」

 二人が出ていってしまうと、那智は姫夜にむきなおった。

「お顔の色がすこしすぐれぬようだ。お疲れなのではありませぬか」

 ハバキは自分がいないとき、もしものことがあった場合にそなえて、那智にだけは姫夜が女であることを打ち明けていた。姫夜も最初にあったときから、那智だけはあざむき通すことはできないと直感していたので、すなおに同意したのだった。
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