禍津姫戦記
 那智は姫夜に、淡い水色からしだいに色の濃い衣を何枚も重ねて着せていった。最後に、月と星を金銀の糸で縫い取った長い衣をふわりとかける。

「ここへきてからずいぶんと背が伸びられましたね。丈は長くしておいたほうがよさそうだ。今後はますます衣を重ねねばなりますまい」

 たしかに鏡にうつるすがたは、やわらかく大人びてきていた。
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