禍津姫戦記
 しゃりん。しゃりん。
 澄んだ鈴の音が響き渡り、人々は何事かと顔をあげた。
 高楼に、長い衣の裾を引いた姫夜がしずしずと姿を現すと、人々のあいだに大きなどよめきが起こった。

「おお、あれを」

「女神が――」

「女神が降りられた」
< 258 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop