禍津姫戦記
 姫夜は空を見上げ、右手で天を指し、左手で地を指した。

「恵みあれ、栄えあれ」

 それを合図に琴、笛、太鼓が天上の楽の音を奏で、白銀黄金の花が高楼から振りまかれた。子どもらは嬉しそうに声をあげ花を奪い合い、老いたものもその花を拾っては額に押し頂いている。姫夜がそのようすを見やりながら、感慨を込めてつぶやいた。
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