禍津姫戦記
 二人はもう一度群衆に手をふると、ゆっくりと後ろの五色の幕のなかに入っていった。まだ歓喜の声が続いている。姫夜はほっと息をついたが、すこし落ち着かなげな表情になって振り返った。

「本当にこれだけでよかったのか? 舞いを舞うこともできたのに」

「舞いはまた別の日にしよう。オオミタカラにとって、神はそう近しいものではないと那智が云っていた」
< 264 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop