禍津姫戦記
 姫夜が目を閉じると、涙がこぼれ落ちた。

「……母に詫びたかった。わたしは母をおいて、逃げた。見殺しにした……だから……アヤカシとわかっていても……」

「食われてもいいと、思ったのか」

「わ、わからない……どうしたかったのか」

 姫夜は激しく声をわななかせ、両手で顔をおおってしまった。
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