禍津姫戦記
 ハバキはゆっくりと眼を細め、そばに落ちていた黒曜石の刀を拾った。

「それほど母が恋しいか?」

 優しいとさえいえる低い声でハバキはいった。

「ハ――」

 冷たい刃がのどに押し当てられていた。姫夜はおびえたように目をみひらいた。
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