禍津姫戦記
カリハはそれでもどこか疑っているような口ぶりでたずねた。姫夜はハバキが願をかけていると云ったのを思い出しながら、いぶかしげに、問い返した。
「なぜそれほどハバキの妻のことを気にかける?」
「おれにはアゲハという十六になる妹がいる。そろそろ縁づく先をさがしてやらねばならぬのだが、下にも幼い弟が二人いるのでいっこうにおれのそばを離れようとしない。やっと説得して、この館の厨(くりや)で先月から働きだしたのだが……」
「なぜそれほどハバキの妻のことを気にかける?」
「おれにはアゲハという十六になる妹がいる。そろそろ縁づく先をさがしてやらねばならぬのだが、下にも幼い弟が二人いるのでいっこうにおれのそばを離れようとしない。やっと説得して、この館の厨(くりや)で先月から働きだしたのだが……」