禍津姫戦記
 姫夜はとまどうように黙り込んでしまった。那智は無言で両手をつかえ、しずしずと出ていった。だがヤギラはまだ部屋のすみで体を硬くし、かしこまっていた。
 ハバキは下がっていいというように手を振った。

「ヤギラも休め」

「でも、まだご用を――」

「もうよい。下がれ」
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