禍津姫戦記
 姫夜は両手でそれを受け取った。それを一気に飲み干し、すっくと立ちあがった。

「歌ができた!」

 先刻隠したのも忘れて、嬉しそうに云ったので、ハバキは一瞬あっけにとられた。

「上の句はこうだった。朝露の消やすき命誰がために――でもこれでは、すこしはかなすぎる。だから下の句はこうだ――千年もがもと我が思はなくに」
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