禍津姫戦記
ハバキは言葉の響きを味わうように口のなかでつぶやいた。
「激しい恋の歌になったな」
姫夜はふっと遠い目になり、胸の紅玉を握りしめ、低い声でうたうように云った。
「ものごころついた時から、兄のそばにいることが多かった――。忙しい父や母の代わりでもあったし、舞いと歌の師としてはつねに厳しく、冷たくさえあった……今、兄はどこでどうしているのだろう?」
「激しい恋の歌になったな」
姫夜はふっと遠い目になり、胸の紅玉を握りしめ、低い声でうたうように云った。
「ものごころついた時から、兄のそばにいることが多かった――。忙しい父や母の代わりでもあったし、舞いと歌の師としてはつねに厳しく、冷たくさえあった……今、兄はどこでどうしているのだろう?」