禍津姫戦記
「知っているのか、クチナワ」

「その呼び方はやめよ、色気のない。したが……吾が欲しいものを与えてくれるなら、考えてもよいぞ」

 姫夜の双眸が、舌なめずりするように、妖しくきらめいた。

「なにが欲しい?」

 姫夜はあでやかに微笑んで、立ち上がり、肩から衣をすべり落とした。
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