禍津姫戦記
 白くまぶしい裸身がゆれる燭の明かりのなかで露わになった。冴え冴えと、首からさげている紅玉だけが、ほのかなふくらみの間で光っている。

「この器には《気》が足りぬ。我彼(われかれ)の境目が透き通ってあいまいであるがゆえに、カミを自在に封じられるのではあるがな」

 姫夜はひたとハバキを見つめながら、歩み寄った。
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