禍津姫戦記
「ことわる」

 ハバキははっきりとした声でいって姫夜を押しのけた。
 姫夜は目を見開いた。

「――なぜ? ハバキはわたしが欲しくはないのか」

 むじゃきな声に、姫夜が一瞬、正気を取り戻したかと思い、ハバキはぎょっとした。

「兄のために占はもう立てぬ。わたしの占も歌も舞いも、すべてハバキのためのものだ」

「やめよ」
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