禍津姫戦記
「呪詛か」

 ハバキは唇を引き結んだ。モモソヒメの民はどんな顔をしてモモソヒメを見上げているのだろうか。

(すくなくとも俺は姫夜を、オオミタカラを呪詛でねじふせるような、そんな女王にしたいわけではない。そのために王になったわけではない)

 今度の歌垣で姫夜が舞うならば、それは初めてカツラギの民が、姫夜の力を肌身で感ずる場になるだろう。それ自体がひとつの占になるのだとハバキは思った。
< 454 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop