禍津姫戦記
 神殿の前の野原に大きなたき火がたかれ、大瓶に七つの酒がふるまわれていた。
 姫夜が神殿の前の広場で言祝ぎの舞いを披露することも、前もって触れが出ていた。
 若者のための歌垣ではあったが、舞いを見ることは老若男女を問わずゆるされていた。相手をみつけることに興味のないものや、関わり合いになりたくないものは家の戸を閉ざして、普段通りに一日を過ごすだけだが、今回は神司の舞いが見られるとあって、ぞくぞくと広場に人が集まりつつあった。
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