禍津姫戦記
 舞殿のまわりには、姫夜をひとめ見んとするものたちがひしめいている。なかには爺の肩の上にのせられた小さい童も多い。
 やがて酉の刻を告げる太鼓が打ち鳴らされた。
松明に次々と火が入れられ、黄金色の光の中に舞殿が浮かび上がった。

「あっ、おでましになった」
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