禍津姫戦記
「あめつちのひらけしときのあしかびや、神の七代のはじめなるらん……」

 姫夜は素朴な言霊をはっきりと、しだいに強くくりかえし、歌った。
ざわめきがおさまった。閉じた扇の先が、ひたとカツラギ山を指す。

「山見れば、山も見が欲し」

 扇の先が、今度はふもとを指した。

「里見れば、里も住みよし」
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