禍津姫戦記
 おもしろや山水に おもしろや山水に 杯を浮かべては
 流(りゅう)にひかるる曲水の 手まづ遮る袖ふれて――

 ふわり――と、脱ぎ捨てた緋色の衣が宙に舞った。

「あれ! 朱雀が」

 童が叫んだ瞬間、姫夜はもう白一色のまっさらな童子の姿になっていた。わあっと声があがり、見物していたものたちはやんやと大喜びで喝采を浴びせた。
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