禍津姫戦記
 ハバキの目の前で、薔薇の花が飛び散って、姫夜の手から落ちた。矢は左肩に突き刺さっていた。

「卑怯者め。姿を見せよ」

 ハバキは姫夜をかばうようにして立ちふさがり、叫んだ。

「姫夜、大丈夫か。急所ははずれている」

 姫夜は痛みに顔をしかめながら、矢を引き抜いた。深紅の血が噴き出す。
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