禍津姫戦記
 ざわと黒髪が逆立ち、姫夜は端麗な顔を歪ませ、ぐいぐいと妖獣の喉を締め上げた。
 ごろごろとヤギラの喉から不気味な音がし始めた。

「姫夜、殺すなッ――」

 とっさにハバキは叫ぶと、妖獣の体の下から這いだし、おのれの剣をさがした。そして幹に突き刺さっているのを見つけると力まかせに引き抜いた。
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