禍津姫戦記
 ばさばさと音がした。姫夜は大きく翼を広げ、今まさに飛び立たんとしていた。ハバキは姫夜の体に飛びつき、翼ごと抱きすくめた。

「だめだ、これは罠だ。姫夜、目を覚ませ!」

「ユ、ク――」

 姫夜は顔をゆがめて、空に向かって飛び立とうと、もがいた。
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