禍津姫戦記
 翼は消え、足も元の、美しいほっそりした足に戻っていた。
 傷つきぐったりとした姫夜を抱きかかえほっとした瞬間、ハバキの肩に激痛が走った。ハバキはおのれの肩が獅子の爪に切り裂かれ、疵口を開けているのに気づいた。
 大量の血が流れ出したせいで、頭が朦朧としてきていた。ハバキは歯を食いしばり、気を失った姫夜のからだを馬の背におしあげ、みずからもまたがると、腹を蹴った。
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