禍津姫戦記
 ハバキは口のなかでおのれを激しく罵った。守ると云っておきながら逆に姫夜に助けられた。そのことに猛烈に腹が立っていた。
 那智は疵を縫い合わせるための曲がった針を火であぶりながら、厳しい声で云った。

「この酒をお飲みください。痛みが軽くなる」

「いらぬ」
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