禍津姫戦記
 館の外で馬のいななきが聞こえた。

「クラトどのが戻られたようだ。ヤギラの手当がすんだら、わたくしは戸の外に控えております。なにかあればお呼びください」

 那智は帳を立てまわして、静かに出ていった。
 ハバキはとなりに寝かされている姫夜にむかって手をのばしかけ、ヤギラの口からもれた声を思い出した。
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