禍津姫戦記
 どこまでも続く坂道はどんどん細くなってゆく。
 ふいに道が途切れ、深い谷が姿をあらわす。
 その谷のむこうに、切り立った崖が見える。そこに人影が立っている。
 長い鳥羽玉の黒髪。
 死人のように青ざめた美しい顔。
 かすかに開いたくちびる。
 兄上――!
 姫夜は叫んだ。
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