禍津姫戦記
 板戸が開く音がして、姫夜はびくと振り返った。

「薬湯をお持ちしました」

 入ってきた那智はハバキを見て眉をひそめた。

「疵が開いている。姫夜さまもしずまられよ」

 姫夜は振り返ってハバキの肩をみた。巻かれた布に鮮血が滲んでいる。

「それは――あの妖しが?」
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