禍津姫戦記
「大したことはない」

「ハバキさま、横におなりください。疵を清め、布をとりかえます」

 有無を云わさぬ声だった。
 姫夜はさっと顔を赤らめ、ハバキと那智に背をむけた。
 那智は黙って布をとき、疵の上に酒をかけた。ハバキは低くうめき声をあげた。
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