禍津姫戦記
 紅玉から伝わってくる命のひびきが少しずつ弱まっている。
 それは兄が刻一刻と死に近づいている証しに他ならなかった。心の臓が喉元までせり上がり、足もとから地面が崩れてゆくような気がした。
 姫夜はなりふり構わずハバキの腕に取りすがった。

「ハバキ――! 頼む。こうしている間にも兄が……」
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